放射能=「どうせガンで死ぬだけじゃん」の誤り

「最悪でも、どうせガンで死ぬだけじゃん」ということを言う人が時々います。それは勉強不足。想像力を欠いた発言です。

すぐに「死ぬ」か「生きる」かの議論になりますが、実際には、「死ぬ=生きるの間にある悲劇」が、低線量被曝による放射線障害の現実です。

原爆症湾岸戦争症候群原発労働者、これまでの原発事故などによる被爆・被曝などから、色々なことが判っています。科学的に証明されていなくても、人が経験して来たことから学び、警戒することが我々には可能です。

「ガンで死ぬだけ」と言う人には、こんな写真を見てほしい。
>広島の被爆者 中村さんの記録
> http://daysinternational.net/jp/feature/kikujiro/
>6畳ひと間の雨戸はいつも閉めたままで15ワットの裸電球がついたままだった。
>中村さんは、敷きっぱなしの継ぎ接ぎだらけの布団に被爆以来寝たきりの
>生活を続けていた。梅雨明けのある朝、雨戸を開けた中村さんは、夏陽の
>眩しさに立ちすくんだ。
>
>9回転院をし、開腹手術を2度受けたが症状は悪化するばかりだった。市の
>福祉課の担当に仮病扱いされ、精神病院に強制入院させられたこともあった。
>
>近所の開業医にできることは痛み止めの注射だけだった。放射能障害に
>対する医学的対処が皆無だったからだ。
>
>中村さんは突然発作に襲われ、頭が割れる、体がちぎれると叫びながら
>部屋中をはい回る。体を掻きむしって血だらけになり、激しい痙攣で
>全身が硬直して悶絶した。
>
>中村さんの内股には数十の傷跡が残されていた。病苦や貧困に耐え
>切れなくなった時、その苦しみから逃げるために、カミソリで切り
>裂いた傷跡だった。「キチガイだと言われるから、その傷を写すの
>だけはやめてくれ」と懇願されたが、その傷跡も写した。広島。1950年

アメリカ女性兵【放射能=ガンだけじゃない】10年後の日本でも?ぶらぶら病
http://d.hatena.ne.jp/genpatsu_mov/20110429
http://www.youtube.com/watch?v=oX9oPFsNybE


放射線により被曝した場合、どのようなことが起こるか。簡単に考えて見ましょう。

■初期症状
薬で治らない下痢、下血、鼻血、原因不明のアザがしょっちゅうできる。免疫機能が以前より明らかに落ちている、など。

不安になったら、放射能症のことが判る医療機関で相談してください。


放射線の障害
放射線はあらゆる癌を発生させる
放射線起因の癌は自然発生よりも悪性度が高い。
・症状が出る前に重要な潜伏期がある。
白血病やガン以上に、白内障の増加が顕著である。

放射線起因の疑いがあるものに
不妊
・老化の促進(筋肉、関節、神経脈管、心臓血管、支持結合組織への影響)(BEIR III, 1980, P505 and 502)
・ 生殖機能異常
・ 先天性異常
・ 先天性奇形

などもあげられます。

低線量内部被曝の場合、「活性酸素が原因の健康被害」の症状を完全に含み、それより広いと言いうるのではないかと、調べた範囲では個人的には思っています。(そのことにより、ペトカウ作用の状況証拠は揃うのではないかと)

ペトカウ作用に関してはこちら
内部被曝とは★資料★ 随時更新
http://d.hatena.ne.jp/genpatsu_mov/22001229


■恐れすぎない
様々なケースがあります。

1・物凄く低線量の被曝で死亡に至った
2・かなり被曝をしても無症状だった
3・死亡免れたが生涯、痛さや脱力感(ぶらぶら病)などで悩んだ
4・症状でたが自然治癒してそのままずっと健康体だった

これで「○○(地名)は壊滅だ」と結論しないで下さい。避難が必要な放射線量の中でも健康に生きる人がいることも、歴史は証明しています。

恐れすぎない。かといって安心されすぎても困ります。


■何が問題?

例えば、ぶらぶら病はとても苦しい症状です。

・立てない、力が出ない、寢ていることしかできないという日があるかと思えば、今日はイスに座れる、今日は外出できる。ハタから見ていると都合の良いことを言って怠けている人に見えたりするようなケース。

・夫婦生活の時だけにいきなり顕れ始めるようなケース。

お金がない、結婚できない、自殺……。ちょっと考えただけでも、放射能による病気・ぶらぶら病一つでもさまざまな悲劇があり、様々な家庭を複雑に苦しめ、崩壊させて行くことが想像できるでしょう。そしてそれは、既に日本に限らず、世界のヒバクシャが経験して来たことなのです。

ぶらぶら病になったら、毎日するような仕事ができなくなるでしょう。でも場合によっては、急に完治したりする。ところが働き始めて数年で役職をもらったようなところでまた再発し、会社を辞めざるを得ないようなこともあり得るでしょう。

甲状腺ガンにしても、子供が亡くなったような場合、その家庭にどんな陰を落すことになるのか、少し想像すれば判るでしょう。

「どうせガンで死ぬ」という言葉が想像させるのとは違う現実を一人一人が経験していく。一人一人が、様々で複雑な状況に陥り、家庭が壊れたり、それまで計画していた人生を、ある意味では完全に失ったりします。

もちろん、ガンにかかるだけでもそのような状況になることは、多くの人・家庭が経験して来たでしょう。

しかし比較はできませんが、放射線による障害は、グレーゾーンが広かったり、症状が多岐に亙るため、非常に複雑な悲劇を生み出して来たのです。


■治る→再発を繰り返したり、長期間後に出たりすることがある

放射線起因の病気は、一度、治ったと思ってから、また再発することがあるのも特徴です。以前と同じ症状だったり、以前より遥かに重い症状として再発したり。ガンであれば、不自然な多重的なガンだったり。

20年症状がでなかったからと言って、翌年に症状が始まる、ようなこともあるようです。つまり、「○年症状が出なかったからOK」という基準が今のところはないようなのです。むしろ、びっくりするくらい時間が経ってから症状が出る場合がある。


■それでも生きる人生

それでもそれぞれの人生があり、楽しい日もあれば、満足する日もある。そういう人たちを「かわいそう」だけで見ることは理解にはつながらないでしょう。そうした人たちが活き活きと人生を送るためには、周囲の理解と、互いに情報交換し、励まし・助け合うネットワーク作りが必要です。

原爆症の人が開かれたネットワーク作りに参加できなかった要因の一つに差別の問題もあります。今後、我々は同じ過ちを繰り返してしまうのでしょうか?

被曝は、なるべくしない方が良いでしょう。しかし、被曝し、何年か経って症状が出てしまったら、今度は、それとしっかり向き合い、絶望することなく、人生を少しでも有意義なものへとするような個人的メンタル・状況・社会を我々みんなで作り上げていく必要があると、私は思います。

今回の収束していない原発事故で、今後何年間かけて、このようなことが起こっていくのを、私はあまりに先回りしすぎて議論しているのでしょうか?

こういうことを伝えても、「実際に、自分が、自分の友人が、そのような状況にならない限り、自分はそのことが判らないし、多分、多くの人がそれを判らない」と、友人にたしなめられました。

そういう人も多いでしょう。しかし、言葉が届く人もきっといるはず。

これまで経験して来たことの積み重ね、「生の声」が人類には沢山遺されています。それを今から学ぶことで、誰かが以前と同じ症状になったとしても、以前と同じ孤独な苦しみを「原発症」の人に与えないように、我々みんなで準備していくことはきっとできます。